色のない季節
もう随分と前から同じ季節を過ごしているような気がする。
というより、季節が止まっていて、移り変わらないようなそんな感じだ。
実際は一日一日と時間が経過していて、確かに時は過ぎているのだけれど、どうにも実感が湧かない。
時間のスポットに取り残されているように感じる。
何故だろう。いつからだろう。
春の桜の美しさも、夏の鮮やかな日差しも、秋の寂しげな木枯らしも、冬の雪の白さも今はなにも感じられない。
グレー。
一言で言えば、そんな色だ。
白でも、黒でもなく。
雨に咲く紫陽花も、太陽に背を伸ばす向日葵も、赤々とする紅葉も、雪の下で眠る草木もみんな同じ色だ。
変わらない日々が熱を奪っていく。
熱がなければ、それは死んでいることと変わりないのではないか。
そう思うと、少し、悲しくなる。
私は季節を感じたい。昔のように。
そして、その季節の中で生きていたい。
いつかまた私に季節は巡ってくるのだろうか。