夜明け前が最も暗い

何かを失った自分が、新しい自分を手に入れるまで。

メガマインドにみる現代の闇

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「メガマインド」という映画を知っていますか?

知らない方の為にウィキペディア様から概要の引用を以下に貼り付けました。

 

『メガマインド』(Megamind)は、2010年のアメリカ映画で、ドリームワークス製作の3DCGアニメーション映画である。日本では劇場未公開で、ソフト発売もされていない。またアメリカの20世紀フォックス ホーム エンターテイメントでは、ソフト再発売もされていない。日本語吹き替え版はAmazon.co.jpやネットフリックスなどのビデオ・オン・デマンドで観ることができる。さらに2016年2月27日に日本のディズニーXDで放送された。また2016年2月27日に日本のディズニーXDでの放送直前に、ドリームワークスのアニメ映画の日本での配給元であるパラマウント・ジャパンは、2016年1月31日で業務を終了したため、本作は最後となる。

 

概要はこんな感じです。

要するにドリームワークスが作ったアニメ作品です。

さらに、あらすじはこんな内容です。

 

悪の天才メガマインドは宿敵のスーパーヒーロー、メトロマンと戦いを繰り広げる日々を送っていた。しかし、ある日偶然メトロマンを倒して骨にしてしまう。生き甲斐を失ったメガマインドはメトロマンに代わるヒーローを作ろうとするが、手違いで凡庸なカメラマンのハルにヒーローの能力を与えてしまった。ハルは力を私利私欲のために使おうとする。メガマインドはメトロマンの恋人と言われていたテレビリポーターのロクサーヌと共に事態を収拾しようとする。

 

実際に観てもらった方が早いと思います笑

さて、前置が長くなりましたが、この作品について思うところがあったので、この記事を書きました。

あと、ネタバレを含みますので要注意です。

 

さて、思うところというのは、この作品を観た感想を一言で言えば「不快」だったという点です。

私がこの作品で最も「不快」であり、それと同時に素晴らしいと思ったのは、登場人物の人物描写です。ハイテクマシーンやスーパーパワーなど、設定は現実離れした荒唐無稽なもののくせに、登場人物の人物描写はとてもリアルに生々しく描かれているからです。

その理由を主要登場人物から解説していきます。

 

◯メガマインド(画像中央の青電球)

彼はこの作品の主人公であり、ヴィラン兼ヒーローでもあります。映画の役割としてヴィランである為、街の破壊やメトロマンの殺害(未遂)など、純粋な善人ではありません。展開として最後には更生してハッピーエンドとなっていますが、自らの勝手な理由から殺してしまった宿敵を蘇らせる為に人一人の人生をいとも簡単に狂わせている点はどうみても悪です。

 

◯メトロマン(画像左側の白マント)

彼はこの作品の前半のヒーローですが、メガマインドに殺害されて物語から退場します。しかし、それは偽装で、実際はメガマインドに殺されたように見せかけて隠居していただけでした。しかも、その理由がヒーローであることに疲れたからという。ヒーローではない自分の人生を生きるという主張はわかりますが、これを見た時に「いや、ちゃんと説明しろよ!」と思いました。言い訳をしているけど、結局は引退を責められるのが怖かっただけじゃないかと。彼は街の期待を裏切り、スーパーパワーを持っていながら戦うことを辞めた言わば傍観者です。

 

◯ハル/タイタン(画像右側の赤マント)

彼はメトロマン亡き後、次のヒーロー(宿敵)としてメガマインドに(偶然)選ばれてスーパーパワーを注入された一般人です。その点では彼は不幸な被害者と言えますが、その後の行動は全く擁護出来ません。振られて自暴自棄になっていたとはいえ、私利私欲の為に与えられたスーパーパワーを悪用し、街を支配しようとした点は完全に悪です。

 

ロクサーヌ(画像中央の女性)

彼女はこの作品のヒロインです。一見すると彼女は何も悪いところはないように見えますが、無意識にハルを傷つけたり、自分のいいようにメガマインドを焚きつけて操るなどしたたかな面を持っています。私は一番の恩恵を受ける彼女こそこの物語の黒幕だと考えています。また、ハルを説得しに来た際にハルから彼女にかけられた言葉は彼女のことを端的に表していると思いました。

 

いかがでしたでしょうか。この作品の登場人物って皆、驚くほど自己中心的で他の人のことをほとんど考えてないんですよね。メガマインドもロクサーヌの為というか自分の為だし、メトロマンとタイタンは言わずもがな。ロクサーヌも行動理念としてはメガマインドとほとんど変わりません。

でも、こういう大人って現実社会でも結構いるんですよね、彼らのように特別な力がないだけで。

 

さて、じゃあお前は一体何が言いたいんだと聞かれると「共感して欲しかった」というのが率直な気持ちです。

この記事を書いて何が変わるという訳ではありませんし、この映画の批判をしている訳でもありません(映画作品としては、演出や脚本もとても良く作られていると思います)。また、あくまでこれはフィクションです。

でも、私はこの作品に描写されるこんな大人ばかりになったら本当の意味で社会は終わりだなと思っています。また、他の方のレビューなどを見て、これらの登場人物に何の疑問も感じない方が多いのは決して鈍感だからではなく、そういう人々が当たり前になってきているからだと思いました。

なので、少しでも共感した方がいたらと思い、この記事を書きました。そうすれば、自分自身に社会を変える力はなかったとしても、共感した方の中で誰かが社会を少しでも良い方向に変えてくれるかもしれないから。

 

さて、長くなりましたが、この「メガマインド」を子供騙しのアニメなどと思わず、是非鑑賞してみてください。

私にとっては子分魚だけが唯一の癒しでした。

 

では、また。