夜明け前が最も暗い

何かを失った自分が、新しい自分を手に入れるまで。

Aさんの話

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Aさんの話。

私の職場には「Aさん」という人がいる。

Aさんというのは私が勝手につけたあだ名のことで、決してアンドウさんとかアダチさんとかアンザイさんとかではない。

Aさんはいわゆる職場の「困った人」だ。

ちょっとした会話や雑談の中で、「今日もあの人がやらかして…」とか、「あの人はああいう人だから…」みたいな言われ方をされている。

名前をぼやかすことで人物を特定することを避けるという意味合いからか、名前を呼ばれることはない。

ハリーポッター風に言えば、「名前を呼んではいけないあの人」的な人だ。

Aさんは嫌われている。いや、嫌われているというより持て余されている。

ポジション的に中堅どころであり経験もあるが、それ故に我が強く、人の意見を受け入れないから扱いに困る。

でも、Aさんはどこの会社にでもいる。

私は今の会社が4社目だが、どこの会社にもAさんはいた。

チームプレーをしようとしない定年間近の1社目のAさん。自分に都合の悪いことがあると職場でもお構い無しに泣きわめく2社目のAさん。自分の地位を利用してパワハラまがいな指示を出して村八分にされた3社目のAさん。

Aさんはどこの会社でもいた。

しかし、本当に恐ろしいのは誰にでもAさんになりうることだ。

その人がいなくなってもまた別な人がAさんになることもある。

自分自身もAさんではないとは言い切れない。なぜなら、Aさんその人だけは自分がAさんであるということをわからないからだ。

Aさんは指摘されない。いや、既にされているが、変わらないから諦められている。故に状態が改善されることはまずない。

人は一人ではあまり力はない。

しかし、人が集まり、集団となった際の力は大きい。

意識も同じで人一人では大したことはないが、それが集まれば強い武器にもなるし、人を傷つける鋭利な刃物にもなる。

Aさんはどこにでもいる。

それはあなたかもしれない。